NOEL
汚れたマフィア界に咲く、すごく繊細で透き通った、けれど醜く苦しいゾクゾクする三角関係
最初にマフィアについて簡単に説明しているので、陳腐な題材のはずなのに、率直に読んでみたいと思えます。そういう点では「本格派」を想像しますが、
主人公である小雪のノリが良いのでコメディ的な雰囲気で読みやすい。
しかし、次第に絡み合う幼馴染み三人の恋。価値観や想い合う心が複雑に入り交じりながらそれぞれの心を大きく揺らす。
そんな彼らの感情が態度にじわじわ現れて、はっきりした言葉ではなく態度によって、何故か感情移入して、切ない気持ちでいっぱいになりました。
また、ぶつけ合う言葉の節々に"キュン"とするよりも"ゾクゾク"しました。あふれだす秘めた想いが優しく丁寧に、愛しさと切なさを込めて囁かれ、小雪が愛されている事がよくわかり、零と優輝の想いの強さも実感しました。
さらに、読点のうち方が絶妙で、妙に頭に残り、三人の感情の現れを際立たせています。
その上、一節が短く、最後に節タイトルでくくられキリがよくなるため、移動中などわずかな時間で読みたくなる構成も素晴らしい。
そのためテンポもよく、一気に読みたくなる、良作としか言えない作品でした。