君には見えない私、私に見えない君

作者古葉

高校二年の岡崎遥は、廊下ですれ違いざまに隣のクラスの男子の会話を耳にする。
その集団の中で自分に好意を持っている人がいるらしい。

自分のことを一番知ってるのは、本当に自分だろうか。


私は自分のさえ知らない本性が、寄生虫のように心のどこかに潜伏していて、けれどそれは徐々に心を蝕んでいくのだと、このごろ考えるようになった。


そしてそれは、得てして醜悪で知らない方が幸せでいられるものではないだろうか。


いや、ひょっとすると醜い本性など無い人がいるかもしれない。


純粋で慈愛に満ちた人間がたくさんいるかもしれない。


彼のように。


しかしそれでは私ひとりが余りに醜すぎる。


私一人が汚すぎる。


穢らわしく、汚らわしい。


それでもあなたは、こんな私を好きでいてくれるの。



恋をしたら、きれいなままでいられない。


岡崎遥が恋したのは彼女を好きな人の親友だった。


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