逢崎 奈零
重なり消せない、嘘と札束
深い、という言葉が最初に思い浮かびました。
敦が嘘を吐き続ける一番の理由はやはり、中学のときの地味な自分を知られることで、彼女に嫌われることを恐れているからだと私は思いました。
札束を使えないでいるのも、きっと本当に欲しいものはそれではないから。
『愛』
取り繕って完成した自分ではなく、ありのままの自分を愛して欲しい(欲しかった)。私が敦なら、そう願います。
しかし彼女は一向にそれを愛してくれない。憎らしい。でも彼女を愛しているが故、離せない。
そうして彼女を失わない為に、気のないフリの嘘を重ねる。
この関係自体、正解なのか不正解なのか誰にも分からない。だからこそ、「敦が続けている」ことで正解になってしまうような気がしました。
素敵な作品をありがとうございました*