信機
物語の厚み、色彩の如し
自他共に認める変わり者の私にとっては尚の事興味深い内容でした。
極稀の確率で先天的に発症する全色盲の直氏と、百人に一人の精神的な発育障害持ちの私。いじめに巻き込まれる過去も多々ありましたし、直氏がどれだけ苦労して生きてきたかが察しがつくんです。
そんな彼へ珠姫さんの「障害は個性」という発想は、私も児童精神科の先生のお陰で辿り着いた答えでした。
珠姫さんと美海さんを初めとしたやりとりも年の割に幼い気もしましたが、「類は友を呼ぶ」なのか、個性的な知り合いも少なくない環境で育ったたせいか違和感をあまり感じなかったんですね。
学園祭の件から嫌な予感はしていたのですが、ラストは恐れていた以上の事態を突き付けられて、思わず瞠目してしまいました。
情景描写も色の多様性を序盤に提示しただけあって、文章以上に深みが増しているように受け取られました。
動物園でライオンを見ている件がその一つですね。
願わくば、登場人物全員に救いの道があらんことを。
長くなりましたが、これで失礼します。