絵麻

何度も、何度でも
私がまだ学生という事もあり、大人のレンアイって、あまり考えた事はありませんでした。

それゆえ、簡単だと思っていました。愛し合って――それで結婚、のような。この作品を読んで考えが変わりました。

『パンプス』。読み始めは、主人公が遠距離のカレの元へ向かうのだから、幸せなのかな……と思ったらどうやらそんな雰囲気ではありませんでした。

読み始めたらどんどんページをめくる指が止まらなくなる。読み手を苦労させない文字量。選びつくされた言葉の数々は、まさに大人だなあ、と感じさせます。

そして――。有と直の、思いが交差した時には、思わず硬直してしまいます。良い意味での硬直、あまり体験できないのですが、これは見事にさせられました。

大人になると、履きなれたパンプスが増えていく。これは恋にも似たようなものなのかもしれませんね。

つい、主人公の未来を願ってしまいたくなる、切ない作品でした。是非おすすめしたいです!