ageha
ジレンマ
理想と現実の狭間で、彼女は一体、何を見てきたのか。
理想の自分、本来ならこうあるべきなのだと自身を偽り続ける主人公の気持ちはきっと彼女にしか分からないでしょう。
自分の愛を伝えようと、相手に寄り添えば寄り添うほど、その愛が重くのしかかってしまい。
結果、気付いた時には、もう取り返しのつかなくなってしまった辛い過去。
それを想像するのは簡単ですが、実際はその想像など遥かに越えてしまう苦難や葛藤が渦巻いているように感じました。
同じ女性として、共感出来る部分もあれば、共感出来ない部分もありましたが、それもまた恋愛の在り方なのかもしれません。
序盤から中盤にかけて主人公のヒヨリをはじめ、ケイやケイの家族の、人としての"弱さ"が滲み出ている分、終盤での"弱さ"を乗り越えた"強さ"に胸が締め付けられました。