ムゲイ

現代社会の寓話
「ミステリー(推理)小説って読みにくい」


 ともし思っている人がいたら、これはその偏見を覆す格好の作品です。

 試しに読んでみて下さい。

 過激なほど饒舌で豊かな比喩表現をもちいて語られる、登場人物たちの生々しい内面描写に、しょっぱなから読者は面喰らうかもしれません。

 しかし次々に起こる奇妙な出来事、

 徐々に描かれるドロドロとした人間模様、

 しだいにそれらが複雑に絡まってゆき、やがて――

 “死んだ男に撲殺される”という不可解な密室事件に遭遇する頃には、すっかり物語に魅了されていることに気づくはず。

 そして、登場人物たちの口からそれぞれの真相が語られるとともに、さまざまな現代社会の問題と直面することになります。

 最後のページをめくったとき、読者は衝撃的な核心と確信にいたるでしょう。

 『偽装家族』は現実と紙一重のリアルな悲喜劇であり、“ミステリー(推理)小説として難解なのに読みやすく、文句なしにおもしろい”と。