実話のような実話じゃないような。

いざ、伝えようと思うと
この日常がなくなっちゃいそうで
私は伝えられなかった。

彼女は斜め前の席に座ってた。


授業中、前を向かなきゃいけないのに、僕の視界に入る彼女が眩しくて、素直に前を向けなかった。



意識をする前は自然に話せてたのに、

いつの間にかどうやって話をしていたのか、僕は彼女との会話の仕方を忘れてしまった。


話したいことはたくさんあった。

でもなんて声をかければいいかわからなくて、

話したいことだけ僕の中にどんどんたまっていった。




勇気を出そうとした時、


彼女は僕の前から


コーヒーに浮かべた砂糖が溶けていくみたいに


いつの間にか


いなくなっていた。