お兄ちゃんとは思えない

作者入谷 奈菜

唯一の肉親だった兄が亡くなり、親戚もいない私に手を伸ばしてくれたのはホストまがいの高校教師だった。家族で、先生で。好きになってはいけない禁断の恋。




『こいつ、俺がもらっていきますね』








唯一の肉親だった兄が亡くなり、1人になった私。


そんな私に手を差し伸べてくれたのは、

ホストまがいの高校教師でした。






『もうアラサーなんだよ…』


『そうさ、俺は虫が嫌いだよ』


文句ばかりで男らしくないくせに。





『そんな不安そうな顔をするな』


『俺とお前は家族だ』


いきなり優しい言葉をかけてくる。












もう記憶も薄い、過去から繋がる二人の関係。




『俺はお前たちに助けられたんだ……』












1つ屋根の下で暮らす仮の兄と私。



お兄ちゃんとは思えない。



この感情はそんな言葉でないと処理できない。