優しいおじさん国語教師が好きな女子高生が、ひたすら先生を想うけど、先生を困らせたくないから伝えない。先生は知らなくていいよ。実らせてはいけない、そんな恋の話。

こんな恋は口に出して言えないから、

この行き場のない燻り続けた思いも、

先生は知らないだろうね。


優しい先生の声も

「大丈夫?」

私にとっては心にじわりと溶け込む冷たくて温かい毒でしかない。

「好きなんです」

ふと吐露した思いも

「…それは」

先生の表情声色次第で

「この短歌好きで。お気に入りなんです。」

何もかも嘘に塗り替えてしまう。



ひねくれていて臆病な私の、淡くもない苦いだけの実らない、実らせてはいけない、恋の話