愛の花束を君に

作者ほのか

「今日からこの1年4組に転入した蒔田さんです。蒔田さん、自己紹介してください。」


担任の佐竹先生が私に自己紹介を促した。


「えっと…蒔田一華です。西区から引っ越してきました。趣味は読書です。よっ、よろしくお願いします!」


生徒が皆こちらに注目していたのでとても緊張してかんでしまったが、何とか当たり障りのない自己紹介をすることができた。


クラスメイトからの拍手が止むと、先生は私に長瀬君の隣に座って下さい、と指示し、一番後ろの空いた席を指した。


(へぇ…あの人、長瀬って言うんだ…)


クラスの殆どが自分に注目しているなかで、長瀬君だけはずっと机に肘をついて窓の外を眺めていたので、少し気になっていた。


私は席に着くと、さっそく長瀬君に話しかけた。


「はじめまして、とっ、蒔田一華です。よろしくお願いします…」


長瀬君は振り向いて、無愛想な顔でぼそりと


「長瀬葵。よろしく。」


とだけ言ってまた窓の方に顔を向けた。


(根暗そうな人だなぁ…)


それが、葵の第一印象だった。