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第一章「私は必ず復讐する」
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高校一年生の女子・憂理ゆうりは、隣家に住む同級生の男子・飛翔ひしょうときょうだいのように育った。
飛翔が母親を早くになくしたことから、憂理の母親が飛翔の母親代わりをしていた。
飛翔は、クラスで“王子様”と慕われる正義感の強い男子であり、同じクラスの女子・愛琉あいるは、“お姫様”と呼ばれる美少女だった。
愛琉は自分が飛翔にふさわしいとの考えから、憂理を妬ねたましく思っていた。
ある日の放課後、愛琉は、校舎裏に憂理を呼び出し、謎の男から教わった魔法で憂理を消しさろうとする。
だが、そこへ飛翔が通りかかり、憂理を救おうとして、共に今までいた世界から消されてしまった。
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ネイチュと呼ばれる異世界に飛ばされた憂理と飛翔は別々の場所に降ろされた。
ネイチュでは強い魔力を持つものが高い地位についていた。異世界から来た者は特別に強い魔力を持っていた。
憂理はネイチュを支配するアルマ帝国の皇太子・アキの宮殿に降りたうえに、強い魔力があることから、アキの妃になった。
だが、異世界から来た少女は処女を失うと魔力も失なわれるため、憂理は“処女の妃”だった。
さらに、“女として誰にも愛されないもの”を愛琉から押しつけられたことで、憂理は、元の世界に戻って愛琉に復讐することを誓う。
アキが皇帝になることで、元の世界へ戻ることが可能になると知り、憂理はアキの“道具”になって、アルマに逆らう町を次々と魔力で破壊していった。
そのことから、“破壊の妃”とも呼ばれ、人々から恐れられた。
アルマに抵抗する勢力として、ネイチュの七割をしめている広大な深い森に潜む、神官イシュリンが率いるレジスタンスがあった。
その拠点であるドーム、リバティーは、イシュリンの結界で防御されており、魔力で外部から激しい攻撃を加えても傷つけることが出来なかった。
町を魔力で破壊しようとしていた憂理は、レジスタンスになっていた飛翔と再会する。
“破壊の妃”にされた憂理をこれ以上アキに利用させないため、飛翔は憂理をドームに入れて、神官イシュリンに会わせる。イシュリンは憂理を受け入れる。
憂理と飛翔は互いを愛する気持ちがありながら確かめあうことはできずにいた。
ドームの外に現れたアキが近くの町の破壊を繰り返したため、イシュリンは飛翔らを連れて、アキに攻撃をやめるよう説得する。
だが、拒絶するアキから激烈な魔力を行使され、その防御に疲労する。
イシュリンが疲労したことでドームの結界が弱まり、潜入していた憂理が内部から穴を開ける。
憂理がその穴から逃れると、アキの忠臣ラセンが待ち構えており、強大な魔力を穴からドーム内へ噴射する。
憂理はドームを壊すためにアキが潜入させたスパイだった。
アキの策にはまったドームは破壊されて火の海と化した。
……。
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以下、
第二章「第二のドーム・スプリング」
第三章「マンゲールの悲しき墓守」
……
と続きます。
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闇落ち。シリアス。復讐のちハピエン。
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