キャンディーボックス

作者あゆぺち

島崎愛華17歳。
小さな頃両親に買ってもらった
キャンディーボックス。 
キャンディーのように甘くて溶けこむ恋を夢見てた。
そんなある時、ある後輩と出会って…?

『パパ!ママ!早く早くっ!』

朝日の差しこむリビングで、寝起きから騒ぐ私。

「待ってろ、今あげるからな〜」

「愛華が好きそうなの選んだわよ」

楽しそうに私を見ながら笑う親。


『やったやったあ!なになに?』

「はい、どうぞ」


パパとママが、口を揃えて言う。

目の前に、ピンクのストライプの紙で包装された小さな箱が

差し出された。

楽しみはとっておきたいから、開けるのはなんだか勿体無い。

だけど、今日は私だけのパーティ。そう、4歳の誕生日っ!


乱暴にガサガサ開けると、ママに叱られた。

「女の子なんだから丁寧に開けなさい」

『、、、はあい』

誕生日にまで怒られちゃうなんて、ツイてないなあ。

スネ気味で、厚包みされた箱を開け続けた。


開かない、開かない、ピンクのストライプはまだまだ続く。

セロテープまできっちり剥がして開けていたら、日が暮れそうだ。


だけど、隣でママが見てるから、丁寧に丁寧に開けた。


ようやく開けたと思うと、初め見た頃より何倍も小さい

小さな白い箱があった。


『ママ、パパ、なぁに?これ』

「いいから、開けてみ?」


もう包装を剥がすのに手が疲れたから、心せずに

パカっと開けた。


『わあ…』

中には、たくさんのキャンディー。

赤、水色、黄色、白、黄緑、ピンク、、、、

おまけにマーブルカラーや金箔入りのキャンディーまである。


『わあ、わあ!ありがとうパパとママ!だいすき!

宝物にするね!可愛い〜』

「気に入ったか?愛華には将来、このマーブルカラーのキャンディー

みたいな子になって欲しいなぁ」

パパのつぶやきに、ママが笑う。


『マーブルキャンディーみたいな子って、どんな子?』

クスス、と。

またママが笑った。

「愛華そのものが、マーブルキャンディーよ」


意味がわからなかった。だけどそれ以上に嬉しかった。

そして決めた。



『将来愛華ね、このキャンディーみたいな恋をするの!』

キャンディーボックスの中には、たくさんのキャンディー。

日に照らされ、壁にキャンディーの色が反射している。


どのキャンディーの恋かはわからないけど、

きっといろんな味で飽きなさそう。



私だけの幸せを掴むの。


どんな試練があったとしても。

絶対乗り越えてみせる!



将来にたくさんの期待を込めて、キャンディーボックスの

フタを閉じた。