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不器用さが良い三人称で構成された話。一人称はもちろんですが、二人称までの作品しか読んだことはなかったので、最初はすごく戸惑いました。けれど文章が上手く、言葉や言い回しも工夫されているので、読んでいく内にあまり気にならなくなりました。キャラクターの個性もしっかりしているし、上手く表現できていると思います。泉の、人付き合いが苦手で不器用、周りに勘違いされやすい性格。笹原の、大物アーティストであり、大人の男をにおわせながらも実はなかなか強引に踏み切れない、ただの男な感じとか。有明の、ちょっとドジだけどお姉さん肌的な、面倒見の良さ。三人称でこれらを上手く描き、泉の心の揺さ振り、笹原のちょっと情けない男の部分とか、有明の、泉を心配するけど笹原も応援したい微妙な気持ちとか、一人称では見られない感情の動きを読めて楽しかったです。最後の方はちょっとあっけなく終わっちゃったかな…と思ったけど、個性的で良い作品だと思いました。