ぼくは今でも、君とすごした時間は幻だったんじゃないかと思うことがある。
だって、君の存在はいつだって曖昧で、不安定だったから。
君はそれをきいたら、怒るだろうか。
悲しむだろうか。
自分を責めるだろうか。
それとも、あの日々を思い出し、ぼくを想ってくれるのだろうか。
それさえ、今のぼくにはわからない。
なにも知らないまま、知ることができないまま、君は姿を消した。
それでも、ぼくはあの日々が存在したことを確かに信じてる。
君を想うたびこの胸を満たす痛みと温もりは、陽炎なんかじゃ決してない。
陽炎には作り出せない。
―紫苑 元気か
いま 一体どこにいる
おれはいまでも 君を想ってる