栗栖ひよ子
深いテーマと独自の感性
実は随分前にもこの作品を拝見し、読み返したのは3回目くらいになります。
重いテーマでありながらも、携帯小説らしい読みやすい文章で、誰でも入り込みやすい作品です。
カタカナが半角だったり全角だったり、頻繁に見られる空行なども、普段でしたら、統一したほうが……と言うところですが、
それらも全て、作者様の感性によって創られているものだ、と感じ、あえてこのままで良いのだ、と思えてしまいました。
随所に、ハッと息を呑んでしまうような表現があったり、「太陽と月」の写真集、詩をストーリーと絡めたりと、
自身の世界観を確立している作者様だと感じました。
ストーリーの続きと、詩の謎と、両方が気になり、手が止まらなくなってしまう方がたくさんいらっしゃることでしょう。
今時の高校生の等身大の感情と、深く重いテーマ。
その二つがバランス良く同居し、携帯小説の魅力とはこういうものだったんだな、と感じました。
ラストがあのような形で終わってとても感動しました。
奥深い作品をありがとうございます。