視線-death line-

作者sea

純愛系ホラー小説。本当に恐れるべきは霊か悪魔か人間か…。それぞれの感情が交差する中で、すぐそこまで迫っている奴とは…。

あぁ、まただ。

どこからともなく感じる視線。


そんな奇妙な感覚が数日続いたある日。



シャッ…


勢いよく開いたカーテンの向こうには、ただただ広がる闇。ポツポツと街頭や車の光が道路を示す。見上げた空には琥珀の穴がぽっかりと開いている。


いつもと同じ見慣れた風景。


ここは2階。

人が覗けるわけがない。

視線なんて感じるわけがない。


ひとつ大きなため息を落とし、

また、枕に顔を沈める。




枕側の壁に掛かる時計だけが

長い一秒を刻み続ける。




ハッと何かに誘われて振り向く。


何もない。

何もいない。

そう、なにも…。




「…バカバカしい。」


呟きは誰にも届くことなく

無機質な部屋に溶けて消えた。