忘却の彼方。

作者

誰でもよかったの。一時でも、あたしの寂しさを誤魔化してくれれば。一時でも、あたしにだけ瞳を向けてくれれば。運命なんて知りたくなかった。


響夜だから選んだんじゃない。


たまたまだった。


ひどい言い方をすれば、他人なのなら誰でもよかったの。


一時でも、あたしの寂しさを誤魔化してくれれば。

一時でも、あたしにだけ瞳を向けてくれれば。



だから、響夜を選んだ…――。


結局、関わりすぎたせいであたしは苦しんでる。

馬鹿みたいだ。


運命を受け入れたと言いながらも、

あたしは微かな希望があってほしいと思ってる。


本当に心のどこかで、あの真っ直ぐな濁りも、汚れも知らない茶色の瞳を欲してる。






運命なんて、

知りたくなかった。