秋晴

重く深い
いじめに関する小説。それも現在進行形でなく、最悪の結果が訪れた後を書いたのは、面白い発想だと思いました。

 憎悪の虚しさ、復讐の無意味さ、痛みの連鎖、そしていじめが生む最悪。重くはありますが確かに残るものがあって、携帯小説ではそうそう得られないものを受け取ったような気がします。

 ただ、文章という面で見た場合。小説の基本などは携帯小説なので言及しませんが、風景描写の少なさが顕著で、場面を想像しにくかったです。短篇ということ、内面的な部分に趣を置いていることを考えると、独白が多くなってしまうのはしょうがないことだと思います。ですがもう少しだけ、読者の想像力に便りきってしまわないような描写が欲しかったです。