自分が壊れていく瞬間の中しか生きてる実感がなかった。だから彼はそうした。やさしく降り積もる新雪のように純粋で儚い物語。

『ねえ ひとつだけ教えてくれないか 


僕たちは…

今じゃなくて昔だけど 

僕たちの気持ちは本物だったよね

 

そうよ 本物よ


透き通った瑠璃色の瞳を潤ませて 

君は答えてくれた。』 (本文より)


この会話を最後に彼は消えてしまった。

ひとり残された彼女は自分も消えてしまわないと

生きてる実感をもてないと思った。


ふたりの物語は

それはまるで新雪のように

やさしく つめたく 儚く 

消えていくべきものだったのかもしれない


ここに思い出と共に記すことで

真っ白な雪のように

けがれない思いが

あなたの心にそっと降り積もるだろう。


これ以上の切ない物語はどこにもない。