半狂乱くんに恋

作者基さんた

半狂乱くんに恋をした少女が偶然バンパイア(ヴァンパイア・吸血鬼)だっただけ。
ドSを通り越した彼は狂ってる。
ちょっぴり切ないラブコメディー。

彼に手を伸ばしても


その手は宙を撫でるだけ。



彼にもし触れたなら


それは挑戦状を叩きつけたのと同じこと。







半狂乱くんは今日も嗤う。


切れ長の目は瞳孔が開き、歪む。


薄い唇は不敵に口角をあげて死を囁く。






ーーーアンタの心臓は取り出しても動き続けんのかな。



え、何。欲しいの?私の心が欲しいの?ーーー






そんな彼に恋をしたのが私だっただけ。



私が偶然バンパイアだっただけ。


それを彼はわかっていない。


それを彼にわからせたい。




これはバンパイアである私の話ではない。


半狂乱くんに恋をした私が、

偶然バンパイアだっただけ。