ねぇ、美沙…
あのとき僕等は
よく一緒にこの夜道を歩いてたよね。
東京のド真ん中だというのに、
天気がいい日には星空がクッキリと見えてさ、
『あ、オリオン座だよ』
冬になると唯一知っている星座を得意そうに自慢してたよね。
『あの3つ並んでいる中の一番左の星って実は二つあるの知ってる?』
はいはい、俗に言う三つ星の一番東側に属する『アルニタク』のことですよね。
そのセリフ、もう何度目ですか(笑)
「昔は、二つ見えるかどうかで視力の検査をしたんでしょ?」
うっすら笑い返すと、
君はちょっぴりスネた顔をする。
『その笑い方、なんかヤダ』
ぷ~っと頬をふくらませ、
ゆっくりと僕の腕に自分の腕を絡ませた。
『いつまでも一緒にいてね…』
僕等はいつまでも一緒に歩いていけるって、
信じていたんだ…