百瀬ねこ

微笑みが僕を離さない
一度、寒い日に読んだ記憶がある。
なんとなく表紙を捲ったが、最後まで読んでしまった。
内容は頭に残った。


辛口評価で、との依頼で再び読んだが、目立った改善点は無いと思われる。(言わなくても自覚している)

謎を解決せず終わっているが、これはこれで良いと思う。糸口から想像するのも楽しいからだ。


気になった事をあえて言うとすれば、「気付かない所を見透かす」ように敏感な彼女が、
休み時間に橋本が送る執拗な目線に、なぜ気付かなかったのか? という事だろうか。

『あの彼女が僕の視線に気付かないのだ。彼女の全ては奪われていた。しかし、微笑みが僕を離さなかった。』

こういった文があると良かった。
読者は意味を想像する。淡々とした流れを過去のシーンに戻す。エピソードが生きてくる。笑顔も引き立つ。


あとは「常に公正であろうとする女性」なら、冒頭の仕事をしていない橋本くんを怒るのでは?

それとも仕事が終わっていないと知っていて遠回しに「やれ」と諭したのだろうか?
わかりにくかった。


これからも向上し続ける作者だと思う。期待したい。