高二の春、初めて彼氏ができた。
たくさんのデート、一緒に勉強もした、夏の日々―
そして秋、妊娠に気づいた。
「結婚しよう」、ふたりで誓い合った。
河口湖宵(こよい)、宮崎公一、17歳の冬。
彼が18歳になるその日を待って、二人は永遠の幸せをつかむはずだった。
季節は巡って、ふたたびの春、彼は帰らぬ人となった―
さて、河口家には情けないながらも、一人ニートを抱えている。
兄、知波(20)だ。
「湖宵、俺が公一くんをよみがえらせてやる!!!!!!!!!」
突如、2chで深夜を問わず寝食を忘れ一心不乱に学んだという黒魔術で、死んだ妹の恋人をあの世から呼び戻すと騒ぎ出すニート。
丸一年部屋から出てこなかった変わり果てた兄貴に、そしてその妄言に、ざわめく、湖宵と家族。
そして―
黒魔術は成功し―
公一の魂はもどってきた―
ニート兄貴の身体の中に。