北陸のとある小さな街。病に侵された自分の余命を知って、命が燃え尽きる前に海沿いの丘の上に建つさびれた観覧車に乗ろうと心に決める。
彼女が小学生のときに初めてゴンドラでキスされて以来、出会ってきた男性とは必ず一緒に乗った観覧車。
その日だけは夫への思いを病室において、観覧車が一周する間だけ過去の男たちに思いを馳せる。
ゆっくりと、しかし着実に時を刻み続ける観覧車に自分が歩んできた人生を重ね、
その観覧車に乗ることで人生の区切りをつけようとした彼女だったが、
逆に押し込めていた「生」への執着心を呼び起こしてしまう。