カブラギ
世界はこんなにわかりやすいメッセージを僕にくれた
文章力[96/100]
構成力[90/100]
合致度[89/100]
競作大会出品作品ゆえ、粗探し観点で精読中。大方は単語重複や文末処理の雑さ、誤字に作法ミスが必ずや発見される筈なのだが、本作。
見つからない。
読めば読むほどに多彩な表現、抜き差しの精妙さに魅せられる。圧巻。
透明で無垢ともいえる、彼の目を通して描かれる世界。押しつけがましさが無いのに、確実に伝わる豊富な語彙。過不足無き、シュッと締まった構成。
1章では表現の調べに導かれて森、奥深くへと。(※色彩が控えられている点にもご注目を)
0章は一転。柔らかく美しい世界、光の粒子まで目に浮かぶ。
I章が更に圧巻。突き刺さる色彩の“紅”、迫りくる慟哭。葛藤受容殺意の波に乗せられ、気付けばラスト、皮肉気に映る世界。
抑えられた心理描写というのに、感情変化に全て共鳴してしまう、この手腕。
残念ながら、私は本作を批評する手段を持たない。
ならば、貴方にお任せしたい。それよりも先ず、感じて頂きたい。