作品コメント
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- 縁側
迫るような情景
文章力[85/100]
構成力[75/100]
合致度[80/100]
情景描写や、言葉の使い方がとても上手だと思います。
迫り来るような表現に鳥肌がたちました。
人物の描写が少しもの足りなく感じましたが、読みごたえはしっかりある作品です。 - フィロストラトス
森の中へ。深く、沈む。
文章力[85/100]
構成力[75/100]
合致度[90/100]
とにかく情景描写が秀逸な作品。
その一方で人物の描き方に、やや物足りなさも覚えた。
主人公の葛藤が実に深く掘り下げられていた分、それに比較して、その両親と謎めいた少女の描写がやや淡白だったように感じた。
あくまでも個人的な意見だが、脇役に存在感を持たせると、物語に更に深みが増すと思う。
ストーリーで読ませるホラーならこれで充分なのだが、これはホラーではなく、れっきとした純文学なので、枝葉の部分まで描き切ったとしても過剰になる事はないだろう。
そういう意味で、この作品に関してはもう少し長い尺で読みたかったというのが率直な感想。
とはいえ、随所に目からウロコが落ちるような表現があり、勉強させてもらった。 - 最中
走り抜けるネズミの重量
文章力[75/100]
構成力[76/100]
合致度[70/100]
過不足、過不足のない、この読みやすいバランスと気持ちのよい比喩と気持ちの悪い鮮烈な描写! 愕然としちゃいました。洗練されていて、でもからっぽな気持ちになって、しかもこまやかで。擬音語もさりげなく響きました。リズム。センス。
ぞくぞくするシーンが沢山。窒息の感覚や出血の自覚が淡泊でとっても惹かれます。たまりません。色。色。色。
先の世界は単純なからくりで底のない。 - neco
何故か惹かれる
文章力[85/100]
構成力[80/100]
合致度[85/100]
実は、この話に出て来る登場人物、皆好きではありません。
理由なく命を断とうとする主人公(しかもそれをやめる理由を世界に期待する他力本願さ)、自分の欲を満たす為に人をあやめる少女、恐らくその原因を作ったであろう父母、息子が行方不明だというのに捜しもせず待ちもせず、狂ってしまう両親。
現実ではありえない世界なのに、何故かリアルに感じてしまうのは、微かに自己投影してしまうから。
自分勝手な登場人物それぞれが、ほんの少しずつ自分とリンクする感覚。不思議。
0章とI章の初め、特に繊細な表現がキラキラと光っていて、すごく好きでした。 - 理香
繊細な世界
文章力[90/100]
構成力[85/100]
合致度[95/100]
「白い光の集合体」の街で始まり
「ネズミ捕り」で終わる本作品。
舞台も街、森、また街と移り変わる。
少年の自我、人間の本質
世界を構成する要素
人間の精神を構成する要素
これらの哲学的な命題を、美しい情景と切ない心理描写で、読む者の心に訴えてくる。
魂をゆさぶる作品。
7ページの表現の通り
「ミルク色の光に包まれ、」
「金色に煌めく光の粒子が、」
「浮かんでいる」
まさに
「繊細な世界だった。」 - 緒形綾乃
紐帯の危うさ
文章力[90/100]
構成力[80/100]
合致度[90/100]
見えないからこそ、確かめたくなる。もう後戻りできない。 - カブラギ
世界はこんなにわかりやすいメッセージを僕にくれた
文章力[96/100]
構成力[90/100]
合致度[89/100]
競作大会出品作品ゆえ、粗探し観点で精読中。大方は単語重複や文末処理の雑さ、誤字に作法ミスが必ずや発見される筈なのだが、本作。
見つからない。
読めば読むほどに多彩な表現、抜き差しの精妙さに魅せられる。圧巻。
透明で無垢ともいえる、彼の目を通して描かれる世界。押しつけがましさが無いのに、確実に伝わる豊富な語彙。過不足無き、シュッと締まった構成。
1章では表現の調べに導かれて森、奥深くへと。(※色彩が控えられている点にもご注目を)
0章は一転。柔らかく美しい世界、光の粒子まで目に浮かぶ。
I章が更に圧巻。突き刺さる色彩の“紅”、迫りくる慟哭。葛藤受容殺意の波に乗せられ、気付けばラスト、皮肉気に映る世界。
抑えられた心理描写というのに、感情変化に全て共鳴してしまう、この手腕。
残念ながら、私は本作を批評する手段を持たない。
ならば、貴方にお任せしたい。それよりも先ず、感じて頂きたい。 - しずく
読み返したくなる
文章力[93/100]
構成力[95/100]
合致度[95/100]
何度も読み返したくなるほど、奥が深く勉強になる作品でした。
全体的には淡々とした文章ですが、魅せるところでは魅せる。
そこに現れる表現が素晴らしかったです。
構成としても面白く、先が気になってページを繰る手が止まりません。
奥深さにぞわぞわします。