カヲル
レビューせずにはいられない……
この小説は,携帯小説というカテゴリーには収まり切らない作品だと思います.
主人公の女の子は,結局最後まで名前を明かされることはありませんでした.
終始『ワタシ』という一人称が使われていました.
また,加害者であり同時に被害者でもあるショウの行動とためらい.
カマキリだと打ち明けられても,信じることが出来なかった主人公.
このへんを読み解いていくと,この物語のテーマがどれほど深いものであるかわかるような気がしてきます.
これだけ悲惨な結末なのに,後味が悪くないのは,きっと,ワタシという主人公が,ショウのことを最後まで『花』であると信じて疑わなかったからでしょう.
彼女は,最後に復讐よりも笑顔を望んだのですから……
後半には回収されていない伏線がいくらか張ってありますので,恐らくそれらは続編で明らかになっていくのだと思います.
この物語,どのような終焉を迎えるのかとても興味深いです.