幸彦

視点を変えた超能力もの
超能力と言えば、概ね念動力や精神感応や瞬間移動の能力が思い浮かぶ。それも新人類、ミュータントだったり、薬だったり遺伝子操作だったりする。
だがこの物語は少し違う。
操る能力は気圧、温度、重力だ。
さらに、能力者は普段と変わらぬ生活をし、次元に歪みを生じさせる何かが侵入してきた時だけ『世界』そのものから、その修復を依頼される。
この視点とアイデアが実に面白い。
能力者が肉類アレルギーという共通点を持っている事も、隠し味として物語に味とリアリティとを添えている。
何より、一人称の語り口が共感を誘う。