涼音
怖い……
物語の展開に、背中がゾクリとしました。
いつ自分が殺されてしまうのだろうと、恐怖に怯える祝詞ですが、読み進めていくと、読み手は本当の恐怖を知ることになります。
本を送った犯人は、祝詞の彼氏・愛汰だった……。
祝詞は愛汰の親友と関係を持ってしまっていた。だから、愛汰は祝詞を愛しすぎるが故、彼女を恐怖に陥れたのです。
そうまでして、祝詞のすべてを手放したくなかった愛汰の心理、行動が本当に恐ろしいと思いました。好きだから許せなかった。でも、彼のした行為はあまりにも歪んでいると思います。
けれど、祝詞も愛汰も、自分の犯した罪に苦しみ気がつきます。本当に好きなのは誰なのか。こんな毎日を送り続けていいのかと。
だから、最後に気持ちが通じ合ったときは本当によかったと思いました。
でも、祝詞は知らないんですよね。あの本の意味が。犯人が。何も知らないまま愛汰と今後も生きていくのだと思うと、また新たな恐怖が生まれました。愛汰も真実を一生隠していくのでしょうか。
本当に怖いものって、人間なのかもしれない……。そしてこれは、誰の身にも起こりうる話なのではないかなと思いました。