セツナイなんて、馬鹿げてる。――だって、そうだろ?
伝えてはならないと知っていた。
彼女を揺るがす言葉を口にしてはならないと知っていた。
どうしたらいいかわからなかった。
自分の気持ちも。
何をすべきなのかも。
矛盾した心と迫り来るその日を迎えるのが悲しくて堪らなかった。
きっと弱虫の俺は怖くては仕方なかったんだ。
けど、それでもあいつはいつも通りを過ごそうとするんだ。
なのに
そんなあいつの笑顔を見るのが切ないなんておかしい。
だって、そうだろ?