小泉秋歩
不器用で、それでも惹かれ合わずにはいられなかった
愛する男性から、突然、婚約破棄を告げられたケイナ。
その傷心も癒えないのに、彼から1000万円の慰謝料とともに預けられたのは、なんと美貌の青年・ソウだった。
ソウの素性もよく知らぬまま、不思議な同居生活を始めたケイナだったが、ソウの明るい笑顔に、次第に心が動き始めて――
切なくて、もどかしい、優しい恋の物語。
過去の恋と新しい恋の間で揺れ動く繊細な女心が、丁寧な筆致で描かれています。
元婚約者を奪った女性の弟、という微妙な設定を持つソウが実に魅力的。真夏の太陽のような天真爛漫な笑顔の奥に時おり見え隠れする複雑な陰が、ケイナだけでなく読者の心も揺さぶります。
2人の関係を暗示するのに「金魚」という小道具を用いたのも良い演出ですね。
夏の夜の熱気、スイカの蜜の甘さ、美しく咲く花火の儚さ――恋のときめきや、大切な相手を思い遣る切ない気持ち、命の大切さを、どうぞあなたも感じ取ってください!