作品コメント

小泉秋歩

2008年2月11日

不器用で、それでも惹かれ合わずにはいられなかった
愛する男性から、突然、婚約破棄を告げられたケイナ。
その傷心も癒えないのに、彼から1000万円の慰謝料とともに預けられたのは、なんと美貌の青年・ソウだった。
ソウの素性もよく知らぬまま、不思議な同居生活を始めたケイナだったが、ソウの明るい笑顔に、次第に心が動き始めて――

切なくて、もどかしい、優しい恋の物語。
過去の恋と新しい恋の間で揺れ動く繊細な女心が、丁寧な筆致で描かれています。
元婚約者を奪った女性の弟、という微妙な設定を持つソウが実に魅力的。真夏の太陽のような天真爛漫な笑顔の奥に時おり見え隠れする複雑な陰が、ケイナだけでなく読者の心も揺さぶります。
２人の関係を暗示するのに「金魚」という小道具を用いたのも良い演出ですね。

夏の夜の熱気、スイカの蜜の甘さ、美しく咲く花火の儚さ――恋のときめきや、大切な相手を思い遣る切ない気持ち、命の大切さを、どうぞあなたも感じ取ってください！

切ないほど相手を想う気持ち
まずはじめに、文章力が高くて大変読み進め易かったです。

ソウ、そして紺がケイナを想う気持ちがどれほどのものなのか、痛いほど伝わってきました。ソウと紺の、ホンモノの優しい嘘に涙せずにはいられません(;_;)ソウが生きてくれて本当によかったです。感動をありがとうございました＾＾

らくだ

2007年8月31日

優しい物語
読み始めたら、物語の中に、登場人物達に絡めとられて止められない。そんな話でした。

優しくて謎に満ちた青年ソウ。
失恋のために絶望した女性ケイナ。
優しい優しい、何もかも包み込んでくれる人々。

彼らが巻き起こす出来事は全て暖かくて、入れたての紅茶のように体に染み入り、気持ちが柔らかくなります。

文章も巧みであるというより、自然な語り口調が作者に身についている、そんな感じです。とても綺麗な語り口でした。