空祈

17歳の記憶
結婚を控えた真琴には、10年前の忘れてしまいたい過去があった。変化していく日々の中で、真琴はその記憶から目を背け続けていたのだけれど……。


 すごく、良かったです。心が鷲掴みにされるような感覚。彼女の悲痛な想いがとても伝わってきて、気づけばこの作品の醸し出す切ない世界観にどっぷりはまっていました。

 展開の読めないストーリーで、最初あった疑問が徐々に紐解かれていくごとに、胸が締め付けられる思いでした。

 全体的に描写が丁寧で、その時の状況をハッキリと思い浮かべることができました。情景、心理共に素晴らしかったです。

 40ページという規制もせいかもしれませんが、少しラストが早急に見えたかな……と思います。自分としては、もう少しあの作品に浸っていたかった。そう思わずにはいられないほど、内容が良かったです。

 

 さあ、真琴は10年前に向き合うことができるのか? 大人びた、切なさを湛えた珠玉のストーリー。あなたも一度、浸ってみたらいかがだろう?