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深い、深い森のなか。


むせ返るような深緑と漆黒の闇。


しめった空気と鳥の声。





そして、あの廃墟。





ここには



時間がない。

自由がない。

法律がない。





すべては一人の男のもの。

すべてはそれに従うしかない。

すべてはここにあるべからずもの。




17人の人間は一人の男のために存在し、

一人の男は神という。










“神を崇め、神に従う”








そうしてすべては消え、なにも芽生えず、落ちていく。







これは、悲しい、悲しい―――…








「悲しい…」







早く、早く




扉をあけて。





森ではすべてが待っている――…