十六夜とは、「ためらい」の意味を持つ。昇るのが遅く、夜が明けてもまだ、沈むことが出来ない。あの頃のあたし達は、十六夜の月のようだった。
十六夜の月を眺めながら
1人道玄坂の上にしゃがんでた。
花壇に座って、携帯握ってた。
もうこんな時間。
鳴るわけないのにね。
坂の上なら、なんだかあの月に
少し近づけそうで。
十六夜の月。
私は
なにもない。
なにも決めない。
誰もいらない。
私は、私だけでいい。
何も知らなかった。
何も気付いてなかった。
あの頃の私。