君の涙と逆説睡眠

作者蒼井 環

深い悲しみに世界を諦めようとした少女朔。その手を握り、帰る場所になろうと誓った少年睦希。訪れるはずの無い幸せな結末に向かって、傷ついた少年たちの運命が交錯する。





傾き始めた陽が、

あの日の記憶を照らし出す。

悲しみの連鎖に

一石が投じられるとき、

傷ついた少年たちの運命が

交錯する。










―お願いです、神様。どうか見逃して。私はただ、あともう少しだけ、幸せが欲しかっただけなんです。




―お前が笑ってくれたら、それでいい。




―僕にはどうしても、を忘れることが出来ないみたいだ。




―もう離したりしない。見失ったりしない。だから君も僕を見失わないで。何度だって、好きだと、そう言うから。