未完成的小説的快楽2007 愛のハイスクールコマンド vol,1

作者eiji7

東今日太は、ベレッタM92のスライドを引いて、9ミリパラベラム弾を素早くチャンバーに送り込んだ。

渇いたスティールの操作音が、戦闘体育館の高い天井に、不吉な小鳥のさえずりのようにこだまする。


「今日のターゲットは誰だろう」と、今日太は、バリケードの陰で無表情につぶやいた。

ターゲットとは、その日の対戦相手のことだ。

相手の顔を見るまで、それが誰なのか告知されることはない。

それがハイスクールの規則だ。


アイスクリームのような、冷たい沈黙を破るように、誰かのハンドガンがスライドして、第一弾がチャンバーにセットされた。もちろん実弾だ。


まだ敵は遠い。