「あたしの事信じてる?」
「うん、もちろん」
僕らは目を閉じて手を握りあった。
「あたしの事・・・
好き・・・ですか?」
「僕は、相田早織さんの事が好きです。
絶対に幸せにします。」
彼女はしばらく無言だった。
「次は・・・どうするんだ?」
彼女は僕の手を強く握りしめてから離した。
「耳を塞いで30までゆっくり数えて、
目は閉じたままよ。」
僕は少し戸惑いながら1、2と数え始めた。
28、 29、 30
しばらく目をつむっていたから
視界が少しぼやけていた。
でもはっきりわかった事は
360度あたりを見回しても
彼女の姿はどこにもなかったという事。
失踪した彼女。
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