一人きりのラブソング

作者蒼太郎


 ──ニ年前、最愛の人が死んだ。


 十七歳の『穂花(ホノカ)』は、過去におった心の傷から、笑うこと・人と接すること。そして、愛することを忘れてしまった少女だった。


 毎日を機械的に生きる彼女は、『暗い』というただそれだけの理由で高校のクラスメートからの凄惨ないじめを受ける。しかし穂花にはすでに、それを辛いと思う心は残っていなかった。



 ある日、そんな彼女の日常の中に、一人の少年が入り込んでくる。


 黒板にでかでかと自らの名を書いた編入生の少年『実(ミノル)』は、穂花の首を締めようとしたクラスメートに言うのだった。


「くだらねえな、おまえら──」



 忘れていた感情の歯車が、徐々に、確かに、いま。回り始める──