月季花
少女が暗闇に生きる理由
ここは彼女のお城。
この塔は、彼女のためだけの楽園。
天蓋付きベッドの上に乗ったたくさんのお人形、洋服箪笥に仕舞われたきらびやかなお洋服。
ひとりぼっちの少女。
だけどたくさんのお友だちがいるから、寂しくない。
ネズミに餌をあげて、気の向くままに歌をうたう。
everything i've ever love disappears like a thought in a dream and returns to silence
それが少女のすべて。
歌をたどって、一人の青年が現れるまでは。
束の間の幸せ。
想いを通わせた二人は、ある計画を思いついて――
とても切なくて綺麗な物語でした。
暗闇姫が閉じ込められていた理由。
楽園を追われたアダムとイヴの物語。
暗闇に咲いた花のような少女。
最初で最後の光は少女の体と命を焼いて、それでも、ひとときの夢はきっと彼女にとって何より幸せで。
私の愛していた全ては
夢の中の思い出のように消え去り
静寂へと戻って行く――
儚く散った少女の歌が、哀しくも美しい余韻を残します。