「さーえーちゃん!」「…うるさい、黙って」───冷静かつ冷淡な私のことを、皆は''薔薇''のようだと言う。薔薇、それは美しさに棘を秘めた気高き花。
棘を持つその花の心に触れた者はいない。
「俺さ、紗枝のことが好きだよ」
「お前は俺のもんなんだけど?」
────棘だらけの心に触れたのは、誰?