川瀬リノ
嫌いの反対は
「私、きみのこと嫌い」
きっぱりばっさり、初対面の俺に対して悪態をついた彼女。
当然、びっくりして固まってしまう。
だが、理由を訊かないと不快な気分が残るだけだ。
「……俺のどこがだめなのでしょうか」
「全部」
――俺、めっちゃダサい。
「え、全否定すか?」
信じたくなくて訊き返すも、「だから、そうだってば」その一言で終わった。
でも、不覚にも俺は彼女の笑顔に惚れてしまった。
俗にいう、“一目ぼれ”ってやつ。
そんな俺に、突然悲劇がやってきた。
朝学校にゆくと、彼女の姿はなくて、いつも彼女のいる屋上へ足をはこんでみても、当然のごとく彼女はいない。
――転校……だと。
ははっ、まさか、な?
――天邪鬼。
彼女の幼なじみに、彼女のことを訊いた。
彼女は、天邪鬼だそう。
そう考えると、嫌いの反対は――――。
短いお話なのに、世界観と可愛らしさが詰まっていました。
純愛系が好きなかたにはぜひ♪