「にしじま…みらい…」
私は壁の落書きにそっと手を触れた。
西ちゃんが背伸びしながらできるだけ壁の上の方に落書きしたっけ。
懐かしいな。
あの頃はただただ毎日が楽しくて、
夢中で遊んでた。
喧嘩することもあったけど、
そんなのすぐに忘れて
次の日にはいつの間にかまた仲良くなってて…。
でもね、今はあんなに簡単だったことがとても難しいと感じる。
馬鹿だよね。
大人って素直になれないんだ。
すると柔らかい風が吹き抜けた。
あなたのいないこの街にもうすぐ2度目の春がやってきます。