はだかの人形

作者あおやぎ

女の子が、過去と向かいながら生きていくお話です。

ねぇ、私、秘密があるの。


幼い頃、私は人形だったのよ。


あら、笑わないで。本当の話よ。



両親が亡くなって、パパの弟の


叔父様の家に少しだけいたの。


楠の木立に囲まれた、アトリエ付きの


こじんまりとした洋館。


アンティークのマホガニー製のベッドの上で


いつも、私寝ていたわ。


そうして寝ていると、叔父様は私の寝顔を


じっと見つめるの。


可笑しいでしょ、可笑しいわよね。


私、そうやっていつも、寝ている振りして


叔父様を誘惑していた。


私が誘惑していたのよ。


本当よ、本当の話よ。



私が誘惑したことは内緒の話よ。