小毬汐日

「キライ」から始まる恋物語
幼なじみが原因で受けた『いじめ』をきっかけとして自らを閉ざしてしまったヒロインは、かたくなに闇の中にとどまり、他者を拒絶してゆきます。
その強さを求める凛とした瞳がふとした瞬間に弱音をこぼしたとき、側にいるのはやはり幼なじみの茜。
自らに嫌いだと言い聞かせながらも、その優しさに甘えてしまいそうになるという戸惑いを内に秘めながら、葵の恋の物語が進んでゆきます。

最近よく読む恋愛ものといえば、かっこいい男の子とヒロインが出会ってときめいて……みたいなプラスの感情を主体として描かれているものが多いので、決して明るいとは呼べない負の感情と、それに付随して来る愛の物語がとても新鮮で深いなぁと思いました。愛と憎しみは度々イコールだと称されますが、それを描き出すのは非常に困難なことであると思います。

あと、最後の茜君サイドの回想録があって本当に良かったです。あれがなかったら私、「なんだよー。イジメ放置とか彼女100人とか、普通にサイッテーじゃんコイツ!」みたいな不満を抱えて終わっていたと思うので……(笑)。
二人の恋の行方が気になるので、続きも楽しんで読ませて頂きます(^-^)!