うのたろう

完成しないパズルのような、すべてがフレームにおさまりそうでおさまらない、マトリョーシカのような作品だ
まったくちぐはぐなものなら逆にすっきりするかもしれない。

が。
作者はこの作品でパズルのピースを微妙にずらしている。
たとえばフレームが十角形だったとしよう。
それに対して、はめこむはずのピースの角は九しかない。微妙にずれている。
シュルレアリスム・ボックス。
なるほどだ。

ネタバレになってしまうが。
とらわれた主人公・俺は死に神の声のとおりに行動をする。
そうすることが恋人(友人?)・亜美を救う唯一の方法だと信じて。

死に神のミッションは全部で5つある。
ラストミッションは亜美を殺すこと。

だが俺にとってのラストミッションは、亜美にとっての1つめのミッション。
ここに無限のループを感じる。

さて。
そうなると4つめのミッションで横たわっていた首なしの死体(俺も感じているようにおそらく友人のコキチだと思われる)も、おなじようなミッションが課せられていたはずである。

が。
コキチの首はない。
それならどうして、コキチの死体はそこにあったのか?
考えれば考えるほど、わからなくなる。
シュルレアリスム・ボックス。
なるほどだ。