赤い薔薇の花

作者幸田

十月二十三日は、僕の二十九回目の誕生日だった。
 初めてスイングという駅前のバーで、綾香と偶然のように再会した。

十月二十三日は、僕の二十九回目の誕生日だった。

 初めてスイングという駅前のバーで、綾香と偶然のように再会したのも、カウンターの片隅にある花瓶に、赤い薔薇が添えられていた。赤い薔薇の花言葉は、「愛情・情熱・熱烈な恋」らしい。

 僕達は高校時代のクラスメイトで、二年前にスイングで会って付き合うようになった。

 赤い薔薇の花言葉にある「熱烈な恋」ではなかったが、緩やかな曲線を描きながら交際が始まったのは事実である。