シークレット

作者りお

母に捨てられ、人を信じられなくなった千歳。十数年経って届いたのは、母の死を知らせる手紙。それは全ての終わりに思えた。だが、これは終わりではなく、始まりだった。

「ごめん。ごめんね、千歳」



母は何度も、私の枕元で泣いていた。


「…お母さん?」



高熱の私の手を握る母の手は冷たく、


強かった。



「きっと、迎えにくるからね。

だから…――」



迎えになど来なかった母。



十年経った。



知らせは手紙。



母の死。



それによって、全ては終わったのではない。



全ては…これから始まるのだ。



血と肉と魂を持つて、真実を得んことを。






これはフィクションです。


少々グロテスクな部分もありますので、苦手な方はご遠慮下さい。