人それぞれ、愛のかたち。恋におぼれるのか憧れにおぼれるのか、薬におぼれるのか先生にひきあげてもらうのか、私はまだわからない。
「やめて!あっ・・・!やだ」
記憶が甦ってくる。私は目をみひらいたまま動けない。
「ああ!やめて・・・!っうう」
服のやぶける音。
潮騒。
うすら笑いと鉄の味。
街灯に照らされたナイフのニブい光。
香水の香り。
私は今予備校の教室にいた。
失われていた記憶をよび醒ました張本人を教壇の前にして。